Forever in love

Forever in love

帯文より
【小説家・藤崎総悟が大切な人へ贈る恋愛小説】
大切なあなたへ……僕の心ごと僕をあげます
小説家・藤崎総悟は恋愛小説家でありながら奥手で、女性とのやり取りがめっぽう弱かった。そんなときに出会ったのがりーなという明るくて可愛い女性。彼女は取材旅行の行く先々に現れ、事件に巻き込まれていく。最初は事件に関わりたくないと言っていた藤崎だったが、なぜか彼女を放っておけずに手助けをする。やがて二人の仲は急速に深まっていき……。 おまけ話、素敵戦隊総レンジャーも同時収録。

作品内容(本文抜粋)

 彼女の指にキラリと光る指輪を見て、彼は去年のクリスマスを思い出していた。婚約指輪を彼女の指にはめたあの時の高揚感を。今日が幸せの絶頂だ、という思いを胸一杯に感じていた、あの時の自分を。

「刻印はForever in loveだよ……。いつまでも愛していますという思いを込めて」

 彼の想いを閉じ込めた指輪が、彼女の白い薬指を滑るように進んで行く。その時、彼の目の前にぽたぽたと零れ落ちる滴があった。彼女の瞳から、はらはらと散る宝石のような涙が、彼の心を温かく濡らしていく。彼女の涙をぬぐいながら彼は囁いた。

「来年はプロポーズさせてね」

 しっかりと抱き合った、あの寒さを感じないクリスマス……。最高だと思ったあの日。その喜びをいま……塗り替えようとしていた。
 

 厳かに神父が口を開く。

「病めるときも健やかなるときも愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」

 笑顔で誓いを終えた二人は…結婚指輪を交換し愛を更新した。

「誓いのキスを…」

 神父に勧められると、二人は見つめ合いはにかむ。花嫁の動きに合わせて揺れる貝殻の髪飾りが、風に優しく踊っていた。
 彼がベールをそっと持ち上げて唇を重ねる。時が止まったかと、いや、このまま止まってしまえと思うほどの幸福感を感じながら、彼は言葉を紡ぐ。

「大切なりーな……僕の心ごと僕をあげます」

同時収録「素敵戦隊総レンジャー」

 広く圧迫感のない清潔なオフィス。ここは素敵戦隊総レンジャーの秘密基地だった。それぞれのデスクにレンジャーたちが座って勢ぞろいしている。

「あのぉ……今日はなぜ私たち……集められたのでしょう?」

 レンジャーの紅一点ピンクが、その可愛い口を開くと次々に声が飛び交う。

「知らないよ~レッドが来いって言うからさ。ボク仕方なく来ただけだし~」

 あどけない顔をしたブルーがふてくされて答える。

「時間厳守って言う割にリーダーのレッドはいつも遅刻するからな……」

 ため息交じりに呟き、組んだ足をぶらぶらさせているのはブラックだ。

「ま……まあまあ。リーダーはお忙しいですからね。そうだ、お茶でも入れましょうか」

 いつも、その場のムードを和ませようとするグリーンが席を立つと……

バァァン!

「揃っているなっ! 着席しろぉ! 会議を始める……重要会議だ」

 ドアを蹴破る勢いで飛び込んできたレッドが声高に命令する。

 全員が固唾をのんで着席する中、レッドは宣言する。

「今日は……ピンク争奪戦だ!」

 あっけにとられた全員の視線を華麗に無視して、レッドはさらに話し続ける。

「もう俺は限界だ。ピンクが欲しい。お付き合いしたいしイチャイチャしたい! みんながピンクを狙っていることは知っている。お見通しだぁ!! 俺のリーダーという立場を利用してやろうと思ったが……思ったが……! だがっ……職権乱用するわけにもいくまい……俺は正義のヒーローだっ」

 一息に言い切ると顔を上げ……

「さあ……誰が参戦する……? 俺と戦うヤツは挙手しろっ!」

 その言葉が終わるか終わらないかのうちに挙手し、なおかつ立ち上がった男はレッドを見据えた。そして、静かに口を開く。

「ピンクの気持ちを無視して……そんな暴挙は許されない、僕が戦う……僕がピンクを守る」

 普段穏やかなグリーンからは想像できないほど、怒りのオーラが立ち上る。

「ふふっ……グリーン……貴様だけか。よかろう、容赦はしない!」

 レッドとグリーンが視線をそらさずにらみ合い闘争心を飛ばし合う。

「ふんっ……ここは漁夫の利を狙うのが一番賢いのさ……」

 にやりと笑いながらブラックが呟き、闇へと溶けるように消えた。

「ねぇねぇピンク~ケーキ食べ行こうよ♡ ボクさ、食べ放題のとこ見つけたんだ~♡」
「あら……それは素敵ですね♡ 行きましょう♡」

 きゃっきゃとケーキバイキングへ連れ立つピンクとブルー。

二人の戦いはいかに……そしてピンクの運命は!