車窓の向こうに大きなうちわをもった何かがふわふわと浮いている
(マジムンが話しかけてくる)
やあ、そこのおふたり
私の名前はミルク
ここから見える東方の海の彼方にある
理想郷ニライカナイに住んでいます
私は平和と豊穣をもたらす神として
沖縄を見守っているのです
ヤマト(内地)にも私と同じように
福耳を持った神様はいますか?
さきほど
友人のヒヌカンから神様ネットワークを通じて
連絡をもらいました
稀に見るお似合いのふたりを祝福しようと
空を飛んで
ここニライカナイ橋で待っていました
(彼女に向かって)
さあ、私のうちわで
仰いであげましょう♪
私がこれであおいで
「風」を送れば
「左うちわ」まちがいなし!
二人のこの先に
大きな幸せがありますように
この先の旅も楽しんで
次に出会うマジムンは
恥ずかしがりやで人見知り
優しく接してあげてくださいね
(うちわを大きく仰ぎながら姿が見えなくなっていく)
◯次に出会うマジムンに優しくすることを約束してミルクを安心させてあげてください
「ミルク」とは
沖縄の東方にあると古来から言い伝えのある伝説の理想郷ニライカナイからやってくる、見るからに福々しい神様で、集落をうちわをもって仰ぎながら五穀豊穣と平安をもたらす(福の神)。手にするうちわであおがれるとリアルな「左うちわ」になれるという言い伝えあり。