「ボクのこと呼んだかい…ほらっココだよ、ココ」
(声がする方を見上げても声の主の姿が見えない)
ボクならここだよ!ココ!!
(突然、目の前のフクギの枝に赤い何かが留まる)
よう、おふたりさん
フクギやガジュマルに宿るマジムンってのはボクのことだろ
キジムナーって呼んでくれ
ねえねぇ
ボクと友だちになってよ
いっしょに遊ばない♪
ボクは格闘技や相撲が大好きなんだよ
ふたりはこの先も旅をするのかい?
なんだって?ボクと遊んでいるヒマはない…
そうかぁ…残念だな
遊んでくれないなんで
つまらないなぁ…
さっきから楽しみにして
ふたりに狙いをつけてたのに
じゃあ…
(とつぜん彼女が持っていたシャコ貝を持ち去る)
ボクがこれを預かっておくよ
知念岬でアカナーからもらった魔除けだろ
知っているよ
ボクもあそこのガジュマルの木の上にいたからさ
無事ゴールまでたどり着いたら
絶対に返してあげるから
それまではボクが預かっておいてあげるさ
心配しなくて大丈夫!
ちょっとしたイタズラだよ
(フクギ並木の枝を飛び移りながらあっという間に見えなくなる)
お~い
ここの水牛車には乗って行きなよ~
シャコ貝のかわりに魔除けのあるものが手に入るかもよ~
(追いかけるのをあきらめて)
もう見えなくなった
いたずら好きのマジムンだなぁ…
悪いやつじゃなさそうだけど
怪我はない?
(心配そうに気づかう)
キジムナーとは
沖縄本島ならどこにでもいる。ガジュマルやフクギなどの古い木に宿る。人間が大好きで友だちになればお金持ちになり、困ったときは助けてくれる。5歳くらいの子供の姿をしていて、いたずらが大好き。得意技は相撲や格闘技、牛とよく相撲をとっている。枯れそうな木にはキジムナーが息を回復するだけでみるみる樹勢が回復すると言われている。実はタコが大の苦手。